【B2B】 ABMの戦犯 と 常識を疑う事の大切さ
最近、B2B業界ではABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が色めきだっています。リンクは貼りませんが、マルケトさんが11社ほどのパートナーと組んで業界に発破をかけているのは大変微笑ましい限りです。
また、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が究極のB2Bマーケティング、MAはもうオワコン、これからはABMだ、という煽り方をする企業様もいて、なんだかなぁという感じです。
いくつか今のABMに対して疑問を感じるのですが、いくつか挙げますね。1つめ。
コンテンツに関する点。
ABMの場合、コンテンツは作りやすくなる。何故なら今まで大変だったのは、360度、全体ウケするようなコンテンツ制作だったのが、ターゲットを絞ったその企業に向けて、その企業の○○部門に向けてコンテンツを作ればいいからだ。
なるほど、パッと見、言いたい事はわかります。でも、これ違いますよね?今多くの企業でコンテンツ制作で困っている理由って”ここ”でしたっけ?
確かにABMにより360°の呪縛からは逃れられるかもしれませんが、もっと難しい”深さ”の呪縛がこんにちわ!、なわけです。
深いコンテンツを外部ベンダーでさくさく作れる業界・・・(探せばあるかもしれませんね。汎用品でライターがわんさかいる世界。でもそういう業界ってABM効かないでしょう。)
この深いコンテンツを誰がつくるんでしょう。って事を置き去りにしてABMを煽るのは無責任だなぁと思うわけです。
もう1つ、あります。
アカウント・ベースド・マーケティング、の売りの1つが営業との関係構築、です。ABMは対象となるアカウントを営業と決めるので、営業の意図にそったマーケティングができます
・・・って。うん、間違いじゃないけど何だろう、このもやもや感。
・ABMをやれば営業と仲良くなれるの?
・ABMいれなくても、営業と仲良くなれるんじゃないの?
・というか、本当に営業と仲悪いの?
様々なセミナーやイベントやホワイトペーパー、ブログ、その他で
「伝統的に営業とマーケは仲悪いですよね」
と言ってますが、そうでもないと思うんですよね。仲が悪いというよりは、どうしよーという困惑があっていると思います。
マーケ視点から言うと、営業はパスしても追わない。この追わない解決方法がABMっていうならホント営業というものがわかっていない方がABMを語っているんだなぁと思うわけです。
ABMを入れようが、営業は追わないケースは、起こります。
ABMで例えば50社ターゲットにしても、上位5社の案件で手がいっぱいの場合、同じですよね。追えない。
むしろABMでターゲットを絞ったんだからちゃんと営業フォローしろ、なんて言われた日には、どこみて商売やってんだとなります。
ターゲットを絞るという事は、ターゲットから売り上げをコミットしているわけで、他社以上のサービス、対応を行う事で優位性を保っているケースがザラにあります。
そのターゲット枠を広げるABMを展開しても、営業の残リソースを加味していなければ勿論営業は動けません。営業とのすり合わせをきっちり行った上でのABMならいいですが、営業MTGでチョロっと決めたターゲットリストをまるで印籠のように振りかざしても営業は後で「知らんがな」というでしょう。
仲が悪い、のではなくて営業は「追えない」わけです。
(追う時間をどう工面するか、ここにSFAと営業マネージャのリソース配分・コントロールが不可欠なわけですけどね。)
もう一度、正しく言うと
マーケのパスを営業が追わないのではなくて、追えない。時間がないから。
営業はマーケのパスを質が悪い、と単に糾弾しているのではなくて、「忙しい時間を割いてまで、または本来注力したいアカウントへの提案をおいといてまで」対応するべきじゃないアカウント/商談をパスしたことに糾弾している。
という状況を、「仲が悪い」という次元の低いレベルで片づけてしまうのは随分乱暴だなぁと思うわけです。なんかこの「仲が悪い」が常識、通例の言葉になって皆うんうん言ってるけどほんまかいな、というツッコミを入れたいわけです。
なので、ABMを最強のB2Bマーケティングともてはやす前にやるべきことって他にあると思うんですよね。皆、それに気づいておきながらABMに騙されているのかしら?
追記:
で、本当に営業がABMで対象とした新規企業に往訪する余裕がないのか、はグループウェアやSFAを見て判断するしかないんだろうけど、これをマーケがやったらそれこそ喧嘩ですよね。他部門の活動にまで口出しするな、と。ましてや日本のB2Bはまだまだ営業が強いのにマーケがそんなことしたらしばかれますよ。
現実問題として、随分しぼった形のABMになるだろうから目立った功績は出しにくいんんじゃないかなぁと思うわけです。
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